「マチズモの人類史 家父長制から「新しい男性性」へ」の書評と解説

うさぎ

「マチズモの人類史」の概要

あらすじ

男女平等こそが重要であると語られる世の中において、忘れてはいけないのが「男性の役割」をアップデートすること。男性としての特権を捨てて、「支配する男性像」から「公平な男性像」を目指すために必要なエッセンスが語られている。

男らしさとはつねに、歴史の産物にすぎない。革新的な歴史叙述で知られるフランスの歴史学者が旧石器時代からの歴史をたどりつつ、男性性がいかに構築されてきたかを時代ごとに検証。時代遅れの家父長制に訣別し、男性のフェミニズム参画を説く最重要書。

目次

Ⅰ 男性による支配
第1章 家父長制のグローバル化
第2章 ジェンダーロール
第3章 支配する男性性

Ⅱ 権利の革命
第4章 最初の女性解放の時代
第5章 フェミニズムの獲得
第6章 女性の解放とは?
第7章 フェミニストの男たち
第8章 国家のフェミニズム

Ⅲ 男性の挫折
第9章 疎外される男性
第10章 男性の病理学
第11章 男らしさの衰退

Ⅳ ジェンダーの正義
第12章 支配しない男性性
第13章 敬意を払う男性性
第14章 平等を重んじる男性性
第15章 家父長制を変調させる

エピローグ――不公平な男性にできること

「マチズモの人類史」を読んだ感想・書評

男は男として生まれるわけではない

エラスムスは自著で述べた「人は人として生まれるわけではない。」を男に置き換えてみたら。涙を見せず、弱音を吐かず、家族を支えるために懸命に働く男性像が浮かび上がってきます。同じ男性でも「支配を行う」と一括りにするのではなく、さまざまな男性がいることを認め、その上で改めて男女平等を語るべきであることに気づきました。

男女平等は男性が女性を支配しているだけでなく、「強い男性」が「弱い男性」を支配する構造もまた含まれているからです。「家制度」がなくなってから相当経つ中で、男らしさをどう定義していくかが重要です。

没落する男性

世界的にみて、自殺率は男性が女性より数倍高い。国によっては5〜7倍程度高い。という結果を見て、マチズモという社会が男性に対する悪影響を及ぼし始めていることを実感しました。

男性らしさを追求することは(女性らしさも同様ですが)、そこから外れている人を悪と決めつけてしまうこと。そうなるために努力を強いることを改めて実感できました。

まとめ

男女平等社会を進めていく中で、男性→女性の在り方だけでなく、男性としてどうあるべきか・何を変えるべきかを今一度見直すきっかけとなる本です。

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